1-1  地下第五層

王都アルメキアの近郊に、ゴルジュ地下迷宮というダンジョンがある。
近年発見された古代遺跡であり、
王都の冒険者たちにとって、今もっとも熱い冒険先だ。

迷宮の発見からそろそろ一年がたつ。
現在、冒険者たちの攻略は、地下第四層で停滞していた。

いや一部の者たちは、すでに地下第五層を発見していた。
しかしそれを見た冒険者は、誰一人としてギルドに帰ってこない。

なぜなら迷宮の第五層には、
冒険者をおとしいれようとする人間たちと、
恐るべき門番モンスターが待ち構えているのだ――


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bel 326.10.23

ゴルジュ迷宮・地下第五層。

暗い迷宮の石室で、若い男女がしゃがみ込んで作業をしている。

二人とも冒険者風の出で立ちで、
男は戦士、女はシーフであるらしい。
宝箱にかかっている鍵を外そうと、おもに女シーフが頑張っていた。

「どうだ、行けそうか?」
「うっさい、ちょっと静かにしてて……あっ、しまった!?」

いらない質問にいらない返事をしてしまい、
女シーフの指がすべった。
ピッキングの針にかかっていたワイヤーが外れる。

ほそい金属は宝箱のスキ間にひっこみ、パチンと音をたてて罠をうごかす。
たちまち宝箱から、シューッとけむりが吹きだしてきた。

「きゃっ、ガス罠だわ! ハーディ、息をとめ……て……」
「やばい……ね、眠い…… zzz……」

シーフの警告はまにあわなかった。
二人の若者は、急激に意識が遠くなり、
深い眠りに落ちてしまった。





「すぅー…… すぅー……」
「zzzzz……」

地下迷宮は冷たい静寂を取りもどし、
二人ぶんの寝息だけが、ちいさく繰り返されていた。



宝箱の部屋からすっかりガスが消えたころ、
見計らったように、別の男女が立ち入ってきた。

別の男女は、眠る盗人たちを見下ろしながら、
ため息まじりに愚痴をはく。





「また、若い侵入者のようですねぇ」

「こんな連中まで五層に降りてこられちゃ、堪らないわ……」

一人は中年の男で、名をブッペという。
うすい髭を生やして、線の細い身体をしている。
黒と青を基調としたローブを着込み、紳士然とした雰囲気である。

もう一人は若い女で、名をドミヤといった。
藍ぞめの衣は、肩や太ももが大胆に露出している。
胴体もうすい絹ごしなので、豊かなボディラインが丸見えだった。
腕や太ももには宗教的な入れ墨があり、かたぎの者とは思えない。

二人の雰囲気は対照的だが、
身につけている祭具や衣装には、同じ紋章がついていた。
ネロン神の紋章だ。
水の元素をつかさどり、自由と神秘を守護する神だった。





「巫女様。 この盗人たちを、どうするべきかはお分かりですね?」

「祭士様。 分かっていることを、まいど訊かないでください。
 ここまで侵入されたからには”番人様”の生け贄にするのが当然です」

「巫女様、その通りです 。
 かわいそうではありますが、もはや地上に帰すわけには参りませんので」

「祭士様、いつも通りです。 自業自得というものです。
 教義も信仰もなく、ただ宝を盗みにきただけの ”ちんぴら” なんて」

「巫女様、その通りですよ……」


ズリ……ズリ…… ズリ……
くらい石の回廊で、ネロン信徒が戦士とシーフを引きずっていく。

祭士ブッペが男戦士の両足をもち、
巫女ドミヤは女シーフの両足をもつ。
二人とも力仕事は苦手のようで、汗をたらして息がみだれる。

「さ、祭士様……なんで人体ってこんなに重いんですかね。
 私たち、人手が足りてないように思うんですけど……」

「ぜぇ……はぁ……
 お手伝いさんの候補は見つけてあります。
 ……もうしばらくしたら合流できますよ、巫女様」

(どうせ、そろそろ潮時ですからね)

「祭士様? まぁ、とにかく重たいです……ぜぇ、はぁ」



こうして、また冒険者がふたり暗闇へと連れ去られた。

地下迷宮という世界において、
一秒の不注意があると、そこから永遠の闇へ続くのだ。

地理的には王都のすぐ近くにあるというのに、
ここゴルジュ迷宮では、冒険者たちのロストが後を絶たない。



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1時間後。

ガリッ……ぐちゃっ…… ぼりっ……

血のにおい。
何かをむさぼり食らう音。
女シーフの意識は、ゆっくりと眠りから覚めていく。





「う……私……どうなって……」

女シーフは寝ぼけたように頬を触っていたが、
われに返ると、乳をユサッと揺れ動かせて、あわてて身を起こした。

(身体に大怪我はない……装備も、眠る前のままだ! 良かった!)

彼女は我が身の無事をたしかめてから、
こんどは視線を、周囲のほうへと巡らせる。

かつて見知らぬ場所である。
50メートル四方はあろう、神殿じみた大広間。
石造りの天井に柱が連なり、
出入り口は前後に一つずつ、大きな石扉がそびえ立つ。

(あ……お宝の山だ……!?)
奥がわにある扉のまえには、金銀財貨がちょっとした山を作っている。

しかしシーフは、大きなモンスターの後ろ姿にも気がついた。
モンスターは、濃い血のにおいをまき散らし、
何かの肉を食べているところだ。

ぐちゃっ……むしゃっ…… ガリッ……

(ちょっと、ヤバいよこれ……!
 ハーディは!? か、肝心なときに居ないんだから、もうっ!)

相棒のすがたが見あたらず、
やむなく女シーフは、中腰の姿勢で音を立てないように、
そろり、そろり、と逃げ始めた。



ところがモンスターは、すでに女シーフに気がついている。
女シーフが動きだしたと察すると、
モンスターはあぐらを解いて、大儀そうに立ちあがった。

『ブルルル……』

女シーフはその姿を見あげて、失禁しそうになっていた。
思っていたよりずっと大型のモンスターだ。
立てば4メートルはあろうかという人影だった。

野牛のような頭部に、筋肉のもりあがった上半身。
腰には硬くひき締まった腹筋のすじ、足には黒い毛皮とひづめ。
そしてごつい右手には、彼女が探していた相棒の上半身がぶら下がっていた。

――あわれ男戦士ハーディは、半分だけの姿になって、
食べかけの肉塊へと変わり果てていた。


「み……み…… ミノタウロス……!!」

倒せば勇者あつかいをされたりもする、神話系のモンスターだ。
相棒の無残な最期をまの当たりにして、
女シーフは膝をカクカク笑わせながら、四つ足で這って逃げようとする。

『ブルルル……』
ミノタウロスは、
逃げようとするシーフの尻を性的な目で見つめている。

だがすぐにそっぽを向いて、食事の続きを始めてしまった。

まぁべつに、後でもいいか。
生け贄は、この部屋からそうそう出られない。
ミノタウロスは、過去の経験からそれを知っていた。



(ど、どうして私たちが、こんな部屋に……!)

女シーフたちは、自他ともに認めるダンジョンのコソ泥だった。
危険な闇は、勇者さまが真ん中を突っきるものだ。
彼女たちは、勇者さまの後ろやわき道をさがして、残りものをあさるのが正しい。

だがこの部屋は、まだ勇者が通っていない場所だった。
コソ泥がさきに入ってしまうと、命が残らない場所だ。
現に、ハーディは死んでしまった。
自分も殺されるのか――そんなのいやだ!



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<助けてぇーー! 誰か、誰か居ませんかぁーーっ!!>

女シーフは広間の反対側までたどりつき、大きな石扉にすがりつくと、
ここぞとばかりに必死で叫んだ。

広間を封じている石扉は、数トンはある大きさだった。
どうみても人力で開けるドアではない。
ミノタウロスの広間は、魔法の扉でとざされている。

それでもシーフが部屋に入ったときには、開いていたはずなのだ。
彼女は扉が閉じている意味をよく考えず、
とにかくもう一度開けてもらおうと大声で騒いだ。





扉のすぐ外には、祭士ブッペと巫女ドミヤが立っていた。
もちろん彼らが女シーフをここまで運び、
生け贄として閉じ込めたのだ。

石扉の上には水神ネロンの紋章が、淡い光をおびて輝いていた。

巫女ドミヤが、ネロン教義の呪文を唱えて
魔法の扉をロックしている。
その紋章の輝きは、信じる者を守護するようだ。

「祭士様、女が目を覚ましたみたいです。
 男のほうは、もう命を感じません……死にましたね」

「巫女様、さようですか。 ありがとうございます。
 女のほうも……じきに”始まる”でしょう」

ネロン信徒たちがそう言うと、
会話の声は扉をこえて、女シーフにもわずかに聞こえた。

近くに人が居る!
女シーフは希望で声のトーンを上げて、扉の外へ呼びかけた。





<誰かっ! そ、そこに居るんでしょう!?
 開けてっ、この扉を開けて!! 早くっ、モンスターが居るのよ!>

「…………」
「…………」
ネロン信徒たちは、なにも答えない。

彼らにとって、女シーフはすでに人間ではなく、
屠殺が決まった家畜のような存在なのだ。
いちいち相手をしていたら心が保たない。

<ひっ……!? いやっ、来ないでぇーーっ!>

そうこうしているうちに、
女シーフもミノタウロスに捕まった。
悲鳴とともに、ジタバタと暴れる音が聞こえる。

<キャーーッ!? 嫌ぁーーッ!!>
ビイィーッ、ビリッ! ビリビリッ!

こんどは衣服をひき裂く音も聞こえた。
男と女では、生け贄としてたどる運命も違っている。

女シーフはミノタウロスのペニスによって、
股間が壊れるほどに陵辱されることだろう。

<いぎいっ!? いっ、嫌!
 やめて、入れないでっ! そ、そんな大きいのどう見ても無理でしょ!?
 はっ、初めてなのに……! こんなの嫌ああっ!!
 痛”いっ! いだだっ!
 はっ、ハーディ、ハーディぃぃ!! 助けてぇーー!!>

ずぶっ……ぶちぶちっ!
<あぐううっ、いやああ”あ”ああぁーーっっ!!!>

懇願むなしく、女シーフの性器はミノタウロスの餌食となった。

男を知らぬせまい肉穴が、牛魔人の巨大なペニスで貫かれていく。
かなりぶ厚かった処女膜が、亀頭に巻き込まれて引き裂かれる。

胎内を斬撃されるような激痛で、
女シーフは喉が破れそうなほど絶叫をした。






めきっ、びきっ! ぶちぶちぷちっ! ぎちちっ!
<痛”だ”あ”ぁーっっ!! あだあ”あぁーーっ!!!>

女シーフは扉に押し付けられ、
ミノタウロスの体重を膣内に突っ込まれた。

処女膣の肉が一気に奥まで開通していく。
初めての性交だというのに、
女シーフの股間には、ベテランの娼婦より大きな穴が開く。

<ひぎゃうっ、ひぎいいぃぃーーっ!!>
処女は目を見開いて、涙に鼻水によだれにと、
顔じゅうを汁だらけにしてのけ反っていた。

伸びきった膝がブルブル震え、その内側を、赤い純潔の証がつたい流れる。
ミノタウロスはさらに女穴をこじ開けて、
自分のペニスにピッタリになるまで、上下左右に容赦なく拡げまくった。

ごりっ、ぐりっ…! ぶちっ! ギチギチっ!
<あぎゃああっ! あぎゃああっ!!?
 こっ、こんな……ひどい……ハーディ、た、助けて……
 ひぎゃあああぁぁーーっ!!>



(これは……すこし可哀想かも……)

最初は目を閉じていたドミヤだったが、
扉の方を見ては、また目をそらし、
視線を行ったりきたりしながら泳がせはじめた。

「巫女様、いけませんよ」
「はっ、はい! すみません、祭士様」
「巫女様、動じない心を育てるのです……」

てっきり女シーフと男戦士は、やりまくっている仲だと決めつけていた。
その女シーフが生娘であったと知ると、
巫女ドミヤはひどく狼狽をした。

ドミヤもまた処女だったため、思わず感情移入をしてしまう。
それに 「もしかしたら、善人を手にかけてしまったのかもしれない」 と、
自らのあやまちを恐れ、神の怒りにおびえた。

祭士ブッペはそれを鋭く見抜き、いましめた。
そもそもコソ泥であったのは間違いないし、
処女だから善人だなどと思い込むのは、混乱状態というものだ。





<はぐううぅぅーーっ!! うあ”あ”あっ!!>
ずぶぶっ! ずぼっ! ずぶぶっ! ずぽっ!

新品の膣がこじ開けられて、
巨大なペニスの突きこみが、女の腹筋を裏から盛りあげる。
心も体も準備が出来ていない処女の膣穴が、
腕を突っ込まれているようなサイズの棒で串刺しである。

膣内は濡れてもいないが、魔物のペニスは頑丈さに任せて激しく動く。
女シーフの絶叫が広間にこだまする。
女の足はつま先立ちで、少しでも痛みをこらえようと、
うち太ももに筋肉が浮きあがる。

それはさらなる締めつけを生み、
膣の摩擦が激痛になる。
分かっていても止められない負の連鎖だ。

豊かに実った乳房がブルンブルンと揺れ動く。
壁に突っ伏した女の腕も、加重と苦痛で筋張っていた。
巨人に犯され、四肢を軋ませながら必死に耐える。

その股間ではピストン運動がさらに激しくなって
破瓜の血を飛び散らせていた。



<はうっ、はううっ!! 痛っ、嫌ぁ、助けてぇーーっ!!>
『ウモ"オ"オオォォーーッッ!!』

シーフが犯され絶叫するのを、
巫女ドミヤは面白くもなさそうな顔で聞いていた。
ドミヤなりにしばらく我慢をしてから、
もう良いだろうと口を開いた。

「祭士様。 男は死に、女は番人様がご賞味をされています。
 そろそろ私たちも、次の仕事に移るべきかと思いますが」

それを聞くと、祭士ブッペは優しい顔で、小さくため息をつく。

「そうですね、巫女様はよく頑張られました。
 今回はこのあたりにしておきましょうか。
 あせらず、少しずつ強くなっていけば良いのです」

ブッペの返事に、ドミヤもほっと息をはく。
強くなる――それは冷たくなるということなのか?
ドミヤはそんな事を少し考えた。
するとブッペは見透かすように、ドミヤの迷いをはぐらかす。

「私は男の身ですから分かりませんが。
 巫女様なら、犯されるよりは食われる方がマシなんでしょうか?」

「え? いえ……そりゃ食われる方が嫌ですけど」
彼女は最後までいわずに言葉を切った。

(でも犯されてから、けっきょく食われるのなら、女の方が損だとは思う)
心の中ではそんなことを呑み込みながら。

祭士ブッペは巫女を見ながら、相変わらず微笑んでいた。





ズンッ、ズンッ、ズンッ、ズンッ! ズブッ、ズチュッ、ズブッ、ズチュッ!
<はぐっ、あ”っ! あ”っ、あっ!!>

処女膣は原型を失うほどに変形し、交尾はいよいよ激しさを増す。
牛が腰を引くたびに、
赤い膣肉がめくれ返って穴の外まで引き出されていた。

もちろん、処女にとっては舌が飛び出すような痛みであった。
望まぬオスに腹の奥まで結合されて、
強く内臓を突き込まれると、踏まれたカエルのように鳴かされた。

<うぐっ、あ”っ……やめ……やめへぇ……!>
涙と鼻水を顔に垂らして、シーフは許しを乞うている。

ミノタウロスには全く聞く耳がない。
女の体に大穴を開け、灼熱のシャベルで掘りかえす。
オスの側から大量のカウパー液を分泌させて、
そろそろ、ピストン運動も潤滑を始めた。

じゅぷっ、ずぶっ、ずんっ、ずちゅっ!
<あぐっ! おあっ、あ”っ、あ”ぁっ!>

女は、腰を高く上げた姿勢で固定され、
尻肉をモチのようにこねられながら、魔物の腰で強く打たれた。

乳房が前後に重たく揺れると、牛はそれに反応し、
ときおり大きな手で握りつぶすように揉んできた。

女肉は柔らかく、男茎はとにかく硬い。そして熱い。
女シーフの初体験は、股間に鉄を突っ込まれて焼かれるような、
苦悶の拷問そのものだった。



「巫女様。 何にせよ、ネロン神が遣わされた ”番人様” のお力は、
 じつに頼もしいかぎりだと思いませんか」

「はい、祭士様。 正しき信仰にこそ、正しき力が顕(あらわ)れるのだと思います」

「巫女様のおっしゃる通りです。
 それにしても、最近おおいですね、侵入者」

「はい祭士様。 ここは恐れ多くも、神秘をたっとぶネロン神殿だというのに……!
 部外者は立ち入り禁止にするために、
 司祭ウィーリス様が、王府議会で何とかして下さると思うのですが」

「…………」
(油虫のように這入ってくる冒険者なんて、
 ぜんぶ牛魔の生け贄にしてしまえば良いんですよ)

「……? 祭士様、今なんて……」

ブッペからの返事はなく、それっきり、ネロン信徒たちの会話は途絶えた。
この女シーフも、気が狂うほど凌辱されたあと、ミノタウロスの胃袋に収まるのだろう。
静寂の中で、扉の向こうからは生け贄の悲鳴がよく聞こえた。



ここ、ゴルジュ地下迷宮は、近年に発見された古代の遺跡だ。
その構造内の数ヵ所から水神ネロンの紋章が見つかったので、
ネロン信徒たちは、ここが古代のネロン神殿であると信じて疑わない。

「冒険者たちは、勝手に入るな」 と主張をはじめ、
中でもブッペやドミヤのような強硬派は、実力行使で侵入者たちを排除していた。

とはいえネロン信徒とアルメキア王府は、迷宮について十分な調査を済ませたわけではない。
ドミヤは第五層より奥の道を知らないし、
もし勘違いであれば、ただの殺人罪でしかないのだが……

祭士ブッペは、そのあたりについて全く動じない。
巫女ドミヤを導くような形で、
第五層へ到達した冒険者たちを、片っ端からミノタウロスの供物にしてしまった。





ずんずんずんっ! どびゅっ、びゅるるるっ!
<だめぇっ、嫌あああぁぁぁーーーっっ!!!>
オスの幹がひときわ強く脈打って、その中身を女の腹へとぶちまけた。

せまい膣は、あっというまに白い汚濁で満たされる。
膣圧が強くて外に出られず、
熱い射精のほとんどは、無垢な子宮へと飛び込んでいく。

どくん、びゅるっ、どくっ、どくっ
<おあっ……! うぐっ……こんな……>
ホースで浣腸されるような腹部の圧迫感に、女シーフが泣きくずれる。

<モンスターの赤ちゃんなんて、いやぁああ……!>
胎内の深い真ん中が、火あぶりのように種付けをされている。
処女の尻たぶは、膣口にオスの生殖器を深々と刺したまま震えた。



(赤ちゃん……妊娠)

巫女ドミヤは、思わず自分の下腹を撫でさすった。
なんだか自分の子宮も、恐怖で脈打ったような気がした。

犯されるということは、孕まされるということだ。
頭では分かっているつもりだったが、いままで実感がなかった。
扉一枚をへた間近から種付けの悲鳴を聞くと、
ドミヤの肌では、恐怖でうぶ毛が逆立っていた。

さらにドミヤは知らないが、
ミノタウロスに孕まされると、異形の仔を産むはめになる。

ミノタウロスとは、人間の胎児を呪って ”作る” 、ゆがんだ命だ。
魂のキメラである彼らは、まともな生殖機能を持ちあわせていない。
牛魔人に犯されてしまった女性は、
さまざまな動物を掛けあわせた ”できそこない” を腹部に宿す。

赤ん坊は牛の顔をしているか、それとも馬の顔をしているのか?
種付けのたびに違う生き物が子宮で育ち、
ひり出してみるまで予想もつかない妊娠だった。

そんな女として最悪の結末をドミヤが知っていたのなら、
女シーフへのあつかいも、少しは違っていたのだろうか。





びゅくっ、びゅるるくっ、びゅーー……
<あ……あひ…… ダメなのぉ……>

大量の精液がうむ液圧で、処女の胎内がいびつに膨らんでいく。
せまい性器をペニスで無理にこじ開けたため、
内臓の位置がすこしズレてしまったようだ。

中出しは嫌だし、妊娠は恐ろしい。
なのに女シーフは身動きひとつ出来ず、尻を高く掲げた姿勢で固まっている。
後ろから種付けされると思わず動けなくなるのは、メス本来の本能なのか。

ふるえる巨乳に汗が伝って、柔らかな曲面を滑っていく。
ツンと張り出した乳房の先から、汗のしずくはポタリと落ちた。
次のしずくもポタリと落ちた。
さらにいくつか、床に落とした。

どくん、びゅるるっ、どくんっ……

その間じゅう、ずっと射精は止まらず、女シーフもじっと固まっていた。



「巫女様。 とりあえず一発おわったようですね。
 そろそろ我々も行きましょうか」

「は、はい祭士様…… 
 われらに大ネロンの加護があらんことを。
 生け贄たちに、罪の悔悟と、魂の救済があらんことを……」

「巫女様、大丈夫ですか? 少し顔色が悪いですよ」

「大丈夫です、祭士様。
 ばかな奴らです。 あんなの、自業自得です」

「……大丈夫そうですね。 では行きましょう」


ネロン信徒たちは、扉のまえから立ち去った。
石の階段をのぼるのかと思いきや、
そのうら手にまわり、煙のように姿を消した。

簡単な魔力でひらく、かくし通路があったのだ。
通路に入ってすぐの石壁には、やはり、ネロン神の紋章が光っていた。

ここがネロンの神殿であると彼らが信じるのも無理はない。
ゴルジュ地下迷宮には、ネロン神の痕跡が至るところに残されていた。



ずんっ、ずちゅっ、ずぶっ、ずちゅっ!
ぶびゅっ、びゅるっ、びゅるるっ……

<あ”っあ、そんな……! も、やめて……え……>

二発目の種付けを受けながら、女シーフは絶望の声をあげていた。
扉の向こうから、人の気配が消え去ったのだ。
地下ふかい静寂のなかで、以後はミノタウロスと二人っきりということだ。

はっきり”閉じ込められた”と確定すると、
女シーフの頭は真っ白になり、
抵抗や逃走をこころみる気力が無くなった。

女シーフは、ただ苦痛に耐えながら、うめき声のほかには為すすべもない。
二発の射精を経ても、オスの生殖器には岩のような硬さがあった。
性欲にまかせて腹の中をかき回される。

ずちゅっ、ずぶっ、ずぼっ、ずぼっ……
<あぐっ……あっ…… あっ……>

うす寒い石の大広間に、交尾の音だけがこだましている。
全てを諦めつつあるメスの膣肉は、
生きながら獣に食われる小動物のように、か弱くも、体温はとても高かった。

オスのペニスは、メスの穴をむさぼる大蛇となって、
熱く前後に律動しながら、
いつまでも、じつに美味そうに女肉を味わっていた。



--



ミノタウロスは、丸一日以上もペニスを抜かずに交尾を続けた。

どれほどの射精をしたのか分からない。
女シーフは途中で何度か気を失ったけど、
三十発よりは多く、百発よりは少ないだろうと察した。

そんなミノタウロスが、ようやく最後の射精を終えて、
深くため息をつく。
巨根をズルリと抜き去って、広間の奥へもどり、横たわる。
すぐに太いいびきが聞こえはじめた。


女シーフは関節が固まっていて、石扉に両手で張り付いたまま、
死後硬直のように動けなかった。

尻をたかく上げて大股をひらき、
女性生殖器を丸見えにして、
彼女は交尾の姿勢でじっとしたまま、手やひざを震わせていた。





女の腹は、妊婦にしか見えない大きさに膨らんでいた。
子宮のなかに詰まっているのは、
一日かけて注ぎ込まれた精液だった。

昨日まで処女だった娘の花弁が、
はげしい摩擦に嬲られすぎて、
タラコのように腫れている。

ごぽっ…… コプ……ドロリ
「ぁ…… ぅ……ぁ……」

膣穴は開いたままで、ひくひくと蠢きながら、
奥から精液を吐き出している。

膣からあふれた汚い汁は、糸を引いて股から落ちる。
あるいは、若い太ももを伝って流れる。
それらが床に達すると、
より汚いにおいを発する、女の糞尿に混じった。



「ど……どうしたら……いいの…… このあと……」

番人の部屋では他にすることもなく、
ミノタウロスは、本当にえんえんと女シーフを犯していた。
魔物はそれで良いのかもしれないが、
まる一日も経てば、人間の女性は尿もするし便も出す。

そのとき、シーフは大声でトイレの許しを乞うていたが、
聞かれるどころか、モンスターには意味も通じなかった。
女シーフは赤面しながら、泣いてうめいて我慢した。

ムリな我慢が限界まで達すると、
彼女はオスと繋がったまま、死にたくなるようなかっこうで、
股間から盛大にまき散らしたのだった。

「ふ…… ぐす……」

臭いで羞恥を思いだし、静けさが絶望をこみ上げさせて、
シーフは新しい涙で頬をぬらした。



そうやって排泄をすませ、消化器官を空っぽにしてからは、
不思議と飢えや渇きを 感じない。
広間から感じる魔力の気配と何か関係があるのか。

ゴルジュ迷宮が本当に古代のネロン神殿であり、
この広間が、神域へとつづく門番の部屋だとしたら。
番人と生け贄を、永久に囲うための機能があるなら――

「だれか…… たすけて……」

思考を悪いほうへとかたむけて、
女シーフはガクッと気力をへらした。

娘の小さく震えていたヒザが折れ、
彼女は、自分の股から産まれた汚物の池に突っ伏した。

猛烈な臭気が飛びちった。
しかし彼女は、もう気を失ったあとだった。



--



その日から、女シーフはミノタウロスのペットにされた。
時間の感覚を失ってモンスターと二人きり、
地下の世界で犯されるだけの生活だった。

ミノタウロスにもまた飢えや渇きは無いようで、
女シーフを喰い殺すようなまねはしなかった。

一日の始まりに目覚めると、
彼女は床や天井のシミを数えながら、十発から二十発ほど犯される。
疲れ果て気を失えば、次の朝(?)までお休みだ。
そんな肉便器としての生活が、何の変化もなく繰り返される。

女シーフの頭は半分こわれた。
それでも毎日、助けを祈る。
誰か、地上世界に私を連れ戻して下さい……

しかし地下迷宮・第五層にあるこの部屋は、
地上を求めようとするにはあまりに遠くて深かった。