サイト連載小説&ラフCG『続・孕草紙』のコーナー



「孕草紙」にて、QBメインヒロインであるはずのレイナがあまり活躍できなかったので
もう一回レイナ編をやるべき!というリクエストから始まった企画です。

サークルとしてはエリナ編もやっておきたかったので
二人合わせて”ヴァンス姉妹編”という形で連載しました。
ちなみに正ヒロインはレイナです。

リクエスト企画ですので、全体の統合性とかより連載当時の要望を優先して話やCGを作ってます。
絵が全然無い箇所や絵が固まってる箇所もありますが
作品というよりサイトのお祭りということでよろしくお願いします(=゚ω゚)




プロローグ



まだ昼なのに、やたらと暗い森の底。
群がる獣と、苦しげな女の気配があった。
木々に侵蝕されてヒビの入った廃墟の中からだ。
古い――とても古い礼拝堂の跡らしい。

かつては神を讃えた聖なる堂に、今は生々しい肉の宴が蠢いている。
汗と淫液で澱んだ空気を吸いながら、
暗がりの中で、雄たちは一心不乱に雌を陵辱していた。

「はうっ……あ! あうっ!」「グヒィ……ブヒッ」
ぱんぱんぱんぱんっ、ずっちゅ、ずぷ、ずっぷ

豚のような面をした大勢の男たちが、
豚のように腹を孕ませられた三人の女たちを一方的に犯している。
男は全員すっ裸、女たちはボロボロの服を着ていた。

男、男と呼びつつも、彼らはどうも人間種では無さそうだ。
筋肉と脂肪で太く盛られた長身は人間によく似ているが、
顔の中央には豚の大鼻が、耳は上半分が尖って、頭に二本の鬼の角。
「オーク」とか「豚鬼」とかの名で呼ばれている亜人である。
性質としては、やや邪悪。太陽を嫌い、山林や地下洞窟に住み着いて、
黒い神々を信仰する狩猟民族だ。

対して三人の女たちは、間違いなく人間だった。
しかし大きく膨らんでしまったお腹の中には、オークの仔が宿っていると思われる。
オークに犯された女は、ハーフではなく純粋なオークを孕んでしまう。
三人ともまだ若いのに、その表情はあまりに悲しく、疲れ切っていた。








いつ、どこから現れたのか、一人の男が廃墟の中を歩いていた。
これは完全に人間種族の男性だった。豚鬼たちと違い、服も着ている。
年の頃は三十前か。均整の取れた身体に筋骨を良く鍛え上げ、
腰には二振りの長剣を差していた。男は戦士であるようだった。

「今日は祭りを楽しんでくれ!
 俺が一頭豚を潰して、ご馳走させて頂こう」

暗くてうろんな礼拝堂で、彼一人が不自然に快活だった。
ただし、台詞を誰に向かって言っているのかは分からない。
オークたちは全く聞いていない。聞こえていない?
娘たちは楽しむどころか、怯えて俯いてしまった。

「よしよし、お前が良いだろう。
 よくこれだけ太ってくれたなァ、偉いぞ……」

娘の一人と交尾していた若いオークの肩を、戦士の分厚い手が叩いた。
台詞からして、喰う気満々である。 豚とは豚鬼の事だったらしいが、誰に食わせるつもりなのだろう。

若いオークは、さっさと射精を済ませて太いペニスを引き抜いた。
女陰からつうっと白糸が引いて、犯されていた娘が唇を噛む。
オークはそのまま戦士に引っ張られるように、
礼拝堂の奥に何の抵抗もせず連れて行かれた。

「オレはモウ寝る……」

こちらも誰に言っているのか、オークは怠そうに就寝を宣言すると、
畏れ多くも説法の壇によじ登る。
うつ伏せになって力を抜くと、あっという間にいびきが聞こえた。
確かに丁度、寝台ほどの壇上だったが、本当に寝てしまうのはどうなのか。

戦士は何も咎めなかった。
彼は彼で、先の自分の言葉通りに――
腰からすらりと白刃を抜くと、目の前で寝ているオークを本当に潰してしまった。
「潰した」というより、オークを剣で刺した訳で、
神父司祭さまの有り難い説法壇が、いきなり未開部族の生け贄壇に早変わりだ。

不思議なことに、深々と右胸を背から貫いている傷口に、
一滴の出血も認められない。
オークは凶器に気づきもせずにグウグウ寝ている。
団子の串のようにオークを剣で刺しただけで、
珍奇きわまる豚料理は完成したようだった。

「さぁこれでいい、俺も踊りに混ぜとくれ!」

戦士が見ているのは霊か幻か。
実に楽しそうに男はステップを踏み出した。
一人ダンスという振り付けでもない。
誰ぞ可愛い空気の嫁を、腕に抱いているかのような雰囲気だった。

「しかし……これでは次の祭りに、少し豚が足りないなァ」

せっかく作った豚料理に箸を付ける事もなく、
男は闇に紛れながら、今度こそソロで踊っているようだ。
もっと産ませて、もっと育てて、豚の数を増やしたい。
お堂の中にブツブツ響く男の独白は、
戦士というより、畜産農家のつぶやきだった。


--


元から暗いので分かり辛いが、半日が過ぎて夜になっていた。

「ぶひ……ぶふっ……」「あっ……うぁ……」
ぬっちゅ、ぬっち……どびゅっ、どぷっ

狂人じみた戦士の声もどこかに消えて、
廃墟は孕ませの音しか聞こえない空間に戻った。

壇で刺されたオークは全く放ったらかしだ。
静かに夢を見ているようだが、顔色はずい分悪くなっていた。
傷口からは少しずつ出血しているようだ。
剣が時々ぴくりと極わずかに動いて、オークから血を吸っているらしい。

どこの魔剣だろうと良く見ても、ありきたりな鉄の直剣だ。
戦士が、騎士がと来歴を問うのも図々しい、野盗や雑兵が使うような安物の剣。
むしろ豚を屠るにはぴったりと言えそうだった。

さらに見る人が見れば、不自然な点もいくつかあった。
無骨に過ぎ、装飾がほとんど無くて分かり辛いが、機能的なデザインは相当古い。
数世紀も前に流行った型の、あくまで当時でも安物の直剣だ。



以上が礼拝堂跡にある全てだった。
この静かな魔窟が、森を抜けた先にある農村を大層困らせていた。


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